微生物の観察・撮影に必要な機材
顕微鏡
カメラ
レリーズ
Tアダプター・Tリング
撮影方法
取扱店情報(益田市近郊)
微生物の撮影に必要な機材
(写真をクリックすると大きな画像が開きます。)
顕微鏡
微生物の観察や撮影には,当然,顕微鏡が必要です。このホームページで紹介させていただいている微生物の写真や動画も,全て顕微鏡を用いて撮影したものです。私が使用している顕微鏡は,株式会社ビクセンが製造販売している光学顕微鏡FMー1500です(写真をクリックすると,大きな写真が開きます。)。この機種は,ビクセンが普通に販売している光学顕微鏡では最上位機種になります。倍率は購入時に付属している接眼レンズと対物レンズの組み合わせだけでも1500倍まで用意されています。
しかし,この顕微鏡の便利なところは,高倍率が出せることではなく,焦点調節装置に微動装置がついていること,ステージが複式メカニカルステージになっていること,照明装置が人工光源であることです。
このホームページで紹介している微生物は主に原生生物と微小な後生生物で,これは私が主に原生動物に興味があったからですが,原生動物を見るのであれば200倍が一番重宝するようです。天体望遠鏡の場合も同じですが,見る対象によって適正倍率は変わってくるのであって,やみくもに高倍率にすればよいというわけではありません。また,撮影するのであれば,ピントがしっかり合っている限り,撮影した写真や動画を電子的に拡大できますので(昔の写真の引き伸ばしと同じ理屈です),高倍率をかけることにそれほどの意味はないということにもなります。
すなわち,引き延ばしや電子的な拡大を前提とする場合,ピントがしっかり合っていることが重要だということになりますが,このためには微動装置は不可欠と言ってよいと思います。実際,動画のページ(特に
ブルサリア?の動き)を見て頂ければ分かりますが,微生物はかなり素速く運動するもので
あり,動きの素速い
微生物にピントを合わせるのに微動装置は大変便利です。この点,微生物の動きを遅くする方法は動物の顕微鏡観察(井上 勤監修 地人書館)等の参考書にいくつか紹介されていますが,いずれもそれなりに面倒で,微生物の含まれた水滴をスライドガラスに落としてカバーグラスをそのままかぶせただけの一時プレパラートで観察するくらいのことでないと,楽しんで観察するというわけにはいきません。
メカニカルステージは,顕微鏡観察に用いる標本を保持・固定する台(プレーンステージ)の上に取り付けて固定され,プレパラートを固定保持し,左右・前後に移動させる装置です。ステージ上のプレパラートを固定する器具として一番簡単なものは,クレンメル(プレーンステージ上面についているプレパラート固定用の板バネ)ですが,クレンメル固定の場合は,プレパラートの移動は全て手動となり,不便です。市販の教材用永久プレパラートのように動かない標本の観察であればともかく,動きの速い微生物を撮影する場合には,片手でプレパラートを移動して微生物を追尾しながらもう一方の手でカメラのレリーズを操作しなければなりません。FMー1500には,十字型の標本移動装置である複式メカニカルステージが最初から搭載されていますので,標本を固定保持したまま前後左右に移動でき,写真撮影時に大変重宝します。
また,FMー1500の照明装置は,反射鏡ではなく,人工光源となっています。顕微鏡のベース内部に照明装置と調光器が内蔵されており,人工光源の光の強さをダイヤルで10段階に調節できます。ステージの下にはコンデンサー,コンデンサー絞り(虹彩式)とブルーフィルター(昼光色フィルター)が搭載されていますので,これらを操作して標本に対する照明の具合を調節します。生きた微生物を撮影する場合には,微生物が素早く動きますので,100分の1秒以上の高速のシャッタースピードを用いることが少なくありません。このため,反射鏡よりも強力な照明光を得られる人工光源も,微生物を撮影する上では不可欠な装置といえるでしょう。
(2014年09月05日)
カメラ
私が使用しているカメラは,キャノンの EOS kiss X5 です。このカメラはAPSーCサイズのデジタル一眼レフカメラです。画素数は1800万画素出で,本体の重量が570グラムです。現在は生産を終了していますが,後継機種が販売中です(EOS
kiss X7)
現在,普通に入手できるカメラは,昔ながらの銀塩フィルムを用いるカメラとデジタルカメラがありますが,既にデジタルカメラが主流になっていると言って良いと思います。これは,①デジタルカメラだと,その場で撮影に成功したか失敗したか確認できる,②撮影コストが圧倒的に安い,③動画も撮影できるといった理由
によるものだと思います
現在,容易に入手できるデジタルカメラには,大きく分けて,コンパクトタイプ,ミラーレス一眼タイプ,APSーCサイズ一眼レフタイプ,フルサイズ一眼レフタイプ,中判一眼レフタイプがあります。このデジタルカメラの分類は,主として撮像素子の大きさによるものです。これらカメラのうち,一眼タイプのカメラは,撮影対象に応じてレンズを交換することができ,特別な部品(アダプターとTリング)を購入すれば,天体望遠鏡や顕微鏡に装着して天体や微生物を撮影することができます。コンパクトカメラでも撮影できないことはないと思いますが,望遠鏡,顕微鏡をカメラの交換レンズとして用いることができる一眼タイプの方が明らかに使い勝手が良いと思います。
デジタルカメラは,大雑把に言えば,撮像素子が大きいほど高価であり,重量も重くなる傾向があります。天体望遠鏡や顕微鏡に装着して撮影する場合,天体望遠鏡や顕微鏡の鏡筒の強度を考えれば,カメラは軽い方が良いですし,画質を優先するなら,ある程度の重量増加を忍んでも撮像素子が大きいカメラを選んだ方が良いということになります。私は,現時点では
EOS kiss X5 の画質で満足していますので,あえてフルサイズ以上のカメラを用いることは考えていません。
デジタルカメラを購入する場合に注目した方がよいこととしては,デジタルモニターがバリアングルのものになっているかどうかということがあるかと思います。デジタルモニターは,ファインダーを覗くよりも容易にピント合わせができますが,さらにデジタルモニターを好きな方向に自由に向けられるバリアングルデジタルモニターだと,撮影の際に無理な姿勢を取らなくてすむので,大変便利です。この機能は,顕微鏡撮影の場合はもちろんですが,天体撮影の際には特に威力を発揮します。
(2014年09月05日)
レリーズ
レリーズ(リモートレリーズ)は,カメラに取り付けて,直接カメラ本体のシャッターボタンに触れることなくシャッターを切るための装置です。EOS
kiss X5では,カメラ本体の左側面下部前側にレリーズ取付端子が設けられています。顕微鏡撮影の場合には,手ブレがあると写真が台無しになるので,レリーズを使うのが無難です。(2014年09月05日)
Tアダプター・Tリング
Tアダプター,Tリングは,顕微鏡にカメラに取り付ける装置です。
Tアダプターは,一組のTアダプターAとTアダプターBで構成されています。
TリングはTアダプターAをカメラに取り付ける装置です。Tアダプターとは別個の商品ですので,Tアダプター(セツト)とは別途購入する必要があります。Tリングは,カメラメーカーごとに異なる種類のものが販売されており,私はキャノンEOS用とペンタックス用のものを持っています(2014年09月14日)。
撮影方法
(写真をクリックすると大きな画像が開きます。)
カメラを顕微鏡に装着する際には,一方で顕微鏡の鏡筒部上端にTアダプターBを取り付け,TアダプターBの固定ねじを回してTアダプターBを鏡筒に固定します。そしてその上から顕微鏡の接眼レンズを取り付けます。他方で,Tリングに切ってあるねじとTアダプターAに切ってあるねじを合わせ,TアダプターAをTリングにねじ込みます。
キャノンEOS用のTリングのカメラ装着部は,キャノンEOSシリーズのバヨネット式マウントに合わせた仕様となっており,他のキャノンEOSシリーズ用の交換レンズと同じようにキャノンEOSシリーズのカメラに装着できます。
次に,TリングとTアダプターAを装着したキャノンEOS kiss X5を接眼レンズの上から被せる
ように取り付け,TアダプターBのねじを回してTアダプターAを固定します。
カメラをTアダプターとTリングを用いて顕微鏡に固定した後は,カメラにレリーズを取り付けます。
撮影は,レリーズとバリアングル液晶モニターを用いて行います。レリーズを用いるのは手ブレ防止のためです。また,バリアングル液晶モニターを用いれば,直接ファインダーを覗くよりも正確にピントを合わせることができます。
(2014年09月14日)
取扱店情報(益田市近郊)
顕微鏡その他のビクセン商品は,益田市近郊であれば,以下の販売店で取り扱っています。
有限会社コアソム
(松倉治夫社長,〒698-0002 島根県益田市下本郷町60−1 電話:0856ー23ー0085,FAX:0856-23-2306)
informationお知らせ
- 2014年09月14日
- Tアダプター・Tリング,撮影方法,販売店情報についての記事をアップしました。
- 2014年09月05日
- 顕微鏡(FMー1500),カメラ(Eos kiss X5),Tアダプター・Tリングについての記事をアップしました。
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弁護士 田上尚志
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